~病畜編その6~「汝、7の7倍まで許せ。それ以上は許すな。」
罵倒され家に帰り寝る、起きる罵倒される。
そんな日々を繰り返していた。
ある日、起きて僕は心が壊れたことを自覚した。
朝食を食べても味がしない。
何も感情が湧き上がらない。
まるで心の電池を抜かれたようであった。
この感覚は何度も味わったことがある。また心が壊れたのだ。
こうして僕は生きる屍研修医として毎日病院に通うことになった。
休みたい、でも休めない。
詰め所では看護師さんたちが和気あいあいと仕事している。楽しそうだ。でも僕には楽しいと感じる力もなくなった。
自然回復を待つしかないのか。
「どこまで続くぬかるみぞ・・・」
そう僕はつぶやきながら能面のような顔をしてタバコを吸うのであった。
もう文章を書くのもつらい。誰も助けてくれない。
思えば毎日罵倒されていたのに誰も助け舟やら慰めやらをしてくれなかった。ここはそういう場所なのだ。間違えた場所に来てしまったのかもしれない。でもどこに行けばいいのかもわからない。
もう考えるのを止めよう。これが病畜の完成形なのかもしれない。
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