~病畜編その④~「汝、7の7倍まで許せ。それ以上は許すな。」
そんな折に台風が来た。僕は各方面に遺書を送った。ある人は真面目に、ある人は鼻で笑ったけれど、僕は本気だった。
言葉の通じない人にも誠意を尽くして何度も避難してくださいと頼んだが、逆ギレされて塩をまかれるくらいの勢いであった。
誠意は尽くした。と僕は判断して大量の水を買い込んで一番被害が激しくなるであろう箇所に乗り込んだ。途中、休憩したSAでも道行く人々に被害がすごくなるからせめて水だけでも買ってくださいとお願いしたが、実際に買ってくれたのはたった一人。
僕は無力感を感じた。
堀木(仮)とも決別したし、僕には生きる意味もない。
my life as a dog.
こんなときに脳裏に浮かぶのはあの子の笑顔だった。
いや、まだ死なねぇぞ。
このまま死んだら研修で気を病んで死んでしまった人になるじゃないか。アイツラの思うがままなんて癪に障る。
持ち前の反逆精神だけが僕を動かす原動力だった。
わかってくれない、それがどうした。
助けたい、だから助ける。それでいいんじゃないのか
なんのために医師になったんだ。
中には義憤にかられている僕をからかって遊ぶ人もいた。
大人なので軽くあしらったが、目の前にいたら確実に。。。
結局、僕は助けたい人のためだけに医師になったんじゃない。
助けたくない人までも助けるために医師になったんだ。というのを思い出した。
何事もなくて、あとから笑われてもいい。世界がそれで平和なら、僕は甘んじて笑いものになる。
数日後、僕は部屋の中で頭を抱えていた。部屋の中には大量の水。
はははっ、なーにやってんだか。
まだ僕は生きる運命らしい。
まだ、免許とったからには生きろってことかな。
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